今日は去年の秋に友達からボローニャ国際絵本原画展に応募する為に童話を考えて欲しいと頼まれ、その時に書いたお話です。
むかし、むかし、世の中には白、黒、二つの色しか存在していませんでした。人々は幸せではありませんでした。なぜなら、花や果物、太陽、雲、空、海の色を見る事ができなかったからです。
ある日のこと、オリンドという少年が、ヴィオラという少女に恋をしました。オリンドはとても恥ずかしがり屋で、自分の気持ちをヴィオラに伝える事が出来ず、彼女と話す事すら出来ませんでした。
オリンドが小道を歩いていると、一軒の小さな店を見つけました。恐る恐るドアを開けてみると…そこには、色の世界が広がっていたのでした。オリンドはそこで、水彩絵の具を買い、夢中になりながら家へ走って帰って行きました。自分の部屋に辿り着いたとたん、オリンドは今まで見たことのない、黄色や緑、青、赤、紫、オレンジ、水色と色々の色を自分の体に塗り始めました。
次の日、オリンドはヴィオラに会いに行くために彼女の家へ向かいました。最初は、彼女を見ている事がばれないように、遠くの方から彼女を見ていましたが、体に絵の具を塗っていた為に、彼女は、オリンドが遠くから見ていた事に気づいてしまいました。そして、オリンドの近くにやってきて、「なぜ、私を見ていたの?」と尋ねてきました。オリンドは「君なんか見ていないよ。」と答えました。ところが、オリンドは顔にも絵の具を塗っていたものだったので、顔が赤くなりました。その時、ヴィオラはオリンドが彼女に恋をした事に気づいたのでした。実は、彼女もオリンドと同じ気持ちを感じており、しかも、彼女もオリンド同様にとても恥ずかしがり屋でした。ヴィオラはオリンドに自分が彼を好きに思っていると言いたかったのですが、言えずにいました。 続く・・・
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